■某月某日 長野県野沢温泉村在住の本誌支局長・山咲一星さんから俳句同人誌『星嶺』の創刊号を送っていただく。創刊の辞に次の一文があった。
「乱世を思わせるこの時、新しい俳句集団『星嶺』を立ち上げます。《百人百様の情景主義》を掲げて、現代俳句の荒波に船出をします。俳句の好きな同志と、悔いの無い俳句人生を送るために・・・」。山咲さんの俳句にかける情熱がひしひしと伝わってくる。本誌も俳句をやるように誘われているのだが、頭の中が『かがり火』の原稿をどう書けばいいかでいっぱいで、俳句脳に切り替えられず、いまだ一句もできていない。「俳句は日本語の文芸です。特別な言の葉などありません。自分の思いを素直に詩にすることです」と励ましてくれるのだが・・。
それでも俳句を鑑賞するのは大好きで、創刊号にあった山咲さんの「篝火に蜩こゑを焦がしけり」「いわし雲影武者めきし古戦場」などに感じ入った。
俳句をやってみようと思う方、誰でも自由に入会・退会できて、入会費・会費など一切不要という山咲さんの指導を受けてみてはいかがでしょう。山咲さんの認めた秀句は本誌にも掲載させていただきます。
・連絡先〒385-2502 長野県下高井郡野沢温泉村麻釜 TEL0269・85・3134FAX0269・85・3135
月刊で発行の予定という手作りの『星嶺』の創刊号。
■某月某日 北海道枝幸町の本誌支局長・藤尾俊郎さんから、平安時代の女性の準正装である“小袿(こうちぎ)”をまとった美女の写真が届く。この美人は、10月22日に開催された京都時代祭で、源氏物語千年紀に合わせて、紫式部に扮した藤尾さんの娘さんだ。彼女は、枝幸町の中学校を卒業すると“私は舞子さんになる”と自分で決めてさっさと京都に行ってしまったと聞いたことがある。今では、売れっ妓の祇園の芸妓“まめ菊”さんに成長した。
藤尾さんからは、「京都で『かがり火』の支局長会議をやってほしい。娘を連れて出席します」と言われているけれど、祇園の芸妓さんが、黒紋付にかつらで交流会に出てくれたらどんなにか座が盛り上がることだろう。これはぜひとも実現の方向で頑張らねば・・。
京都の時代祭で紫式部に扮した藤尾まめ菊さん。
■某月某日 東京都江東区の清澄庭園・大正記念館で開催された「伝承話藝を聴く会」を鑑賞。今回で5回目になるこの会は本誌の中村裕明が中心になって開いているもので、出演者は落語は桂藤兵衛さんと柳亭小燕枝さん、講談は宝井琴柳さんの三人と決まっている。お三方とも渋味のある円熟の芸を聴かせてくれる。聴衆も笑いに来たというよりも、じっくり話を聴きに来たという年配者が多く、回を追うごとにいい雰囲気の会に育っている。今回は、小燕枝師匠の「寝床」、藤兵衛師匠の「死神」、琴柳先生は「赤穂義士伝 三村次郎左衛門」を堪能した。この会は、春と秋の年2回開催しているので、関心のある方は編集部の中村までご連絡いただければ開催のご案内を差し上げます。連絡先は奥付にあります。


落語の柳亭小燕枝師匠。落語の桂藤兵衛師匠。 講談の宝井琴柳先生。
■某月某日 徳島県上勝町で開催された「日本で最も美しい村」連合の総会に出席。今年は新たに、北海道鶴居村、北海道京極町、山形県飯豊町、長野県中川村、長野県南木曾村、京都府伊根町、高知県馬路村の7町村の加盟が承認され、18町村となった。
連合の生みの親である、副会長の松尾雅彦さん(カルビー元社長、現相談役)が、「ツーリズムは21世紀最高の産業であり、日本の美しい村も都市からの観光客の集客に力を入れなければ生き残れない」と訴えていた。この松尾さんの想いが役場職員のみならず、一般の住民にどれだけ浸透していくかが、本当の“美しい村”になれるかどうかの鍵になるだろう。
「日本で最も美しい村」連合の総会であいさつする徳島県上勝町の笠松和市町長(法被を着て立っている人)。
■某月某日
愛媛県上島町の弓削島に兼頭一司さんを訪ねる(本誌29ページ)。総務省の「頑張る地方応援プログラム」に選定された「しまでカフェ」の立ち上げで忙しくしていた。このカフェは、彼が弓削島を地域社会モデルとして「希望の島」にするための最初の取り組みだ。家族で新住民となった兼頭さんに、島の住民も大いに期待しているようであった。地域を応援する最良の方法は現地を訪ねることである。本誌読者の皆さんも、ぜひ弓削島に遊びに行って、兼頭さんを励ましてやってください。
・連絡先 〒794-2501 愛媛県越智郡上島町弓削久司浦720TEL080-5130-8888 mail kaneto@mskj.or.jp
家族で島に根を下ろした兼頭一司さんと奥さんの薫さん、長男の玄ちゃん。
■某月某日 愛媛県伊方町で宇都宮正信さん(47)と兵頭武政さん(47)が営業する「佐田岬ウォーカーズ」で焼きそばをいただく。営業しているといっても、二人の店は、軽トラの荷台を改造して鉄板を乗せた改造車で、営業場所はスーパーストアや道の駅の駐車場など、毎日変わる。車には地元の食材50%以上を表示する緑ちょうちんが下がっていた。焼きそばの具は、豚バラ肉、キャベツ、モヤシ、青ネギ、玉ネギ、ニンジン、煮ヒジキ、ほかに青ノリの揚げ玉と自家製のショウガ漬けが入る。めんは和風だしと鶏ガラだしで味付けをし、ハチミツと黒砂糖をブレンドしたソースで仕上げる。こんな丁寧な作り方をする焼きそば屋さんはめったにない。味は高級料理店並みであった。
本誌が宇
都宮さんと知り合ったのは平成8年、<新・浪漫亭> (本誌の元編集長の故鈴木繁夫さんが経営していた浪漫亭を再開させた地域交流居酒屋)オープンの際、株主になってくれたからである。新聞の記事を見て、趣旨に賛同したといって10株分(1株5万円)も出資してくれたのには驚いた。よほどのお金持ちかと思ったら、地元の商工会の職員だった。結果的に店が軌道に乗らず、出資者の期待を裏切ってしまってざんきに堪えないけれど、彼はその後商工会を辞め、次々と転職しているので、宇都宮さんには特に済まないと思っている。それでも、愛媛県に入る時は必ず寄ってほしいと言ってくれる優しい人だ。
改造した軽トラで焼きそばを焼く宇都宮正信さん( 右)と兵頭武政さん。
■某月某日
島根県安来市の取材の合間に「足立美術館」を見学。安来市の取材(本文18ページ)では、観光協会の野々村貴史さんに大変お世話になった。普段は観光スポットには寄らないけれど、横山大観の大作「紅葉」などがあるこの美術館には関心があったので、立ち寄らせていただいた。
大観に圧倒されたけれど、美術館の庭園もうわさに違わぬ素晴らしいものだった。美術館の駐車場に大型観光バスがずらっと並んでいるのも珍しい。河井寛次郎と北大路魯山人の陶芸も見応えがあった。
・「足立美術館」 〒692-0044
島根県安来市古川町320 TEL0854・28・7111 FAX0854・28・6733
美術館の外の自然も借景となっている足立美術館の庭園。
■某月某日 東京・九段北にある「アルカディア市ケ谷」で開催された「ふるさと大使全国大会2008」に出席。現在、全国の自治体や商工会によって「ふるさと大使」が制度化されているところは300以上あり、約1万人が大使に任命されている。全国ふるさと大使連絡会議は相互の情報交流と連携のために13年前に結成された。今年の大会の目玉は、『ふるさと音頭』のお披露目(作詞・山口義夫 作曲・入舟敏男)。歌っているのは、はこだて観光大使と八王子観光大使の肩書を有する北島三郎さんの北島音楽事務所に所属する歌手の原田悠里さん。若柳流宗家公認「やなぎ会」の若柳夏さんの振り付けまで付いている。
当日は、ふるさと大使の奥様たちの踊りの披露もあったが、行政などからの補助金は一切受けずに、ここまで熱くなってふるさとを応援する団体も珍しい。
・全国ふるさと大使連絡会議事務局〒343?0824埼玉県越谷市流通団地2-1-1埼玉県倉庫団地協同組合内 甲斐秀治(事務局長)
TEL:048-985-2165 FAX:048-985-2170
「ふるさと音頭」に合わせて踊る大使夫人たち。
■某月某日
愛知県豊田市足助町で開催された「第6回 全国まちづくり交流会in足助」に参加。シンポジウム「ダイヤモンドの原石をどう見つけるか」で壇上に並んだ司会者とパネラーの6人のうち4人までが本誌支局長だった。開会の冒頭、足助町の観光協会の会長で、観光カリスマでもある小澤庄一氏が、「トヨタからのお金を当てにしているまちづくりをやっていれば、自立して生きていけなくなる」と辛口のあいさつをしていたのが印象的だった。この会も第6回ともなれば、お互いに顔なじみができて、親近感は深まるもののマンネリ気味になる恐れもある。このことについても小澤さんは、「同窓会的ではない交流会を目指さなければいけない」と主催者と参加者にはっぱを掛けていた。地域づくりの大先輩の言うことは違う。
「全国まちづくり交流会in足助」のシンポジウム。
■某月某日 「ちばコープ」の杉森一雄さんに誘われて、千葉県多古町次浦を訪ねる。この日は、地元の農家120人が運営する農事組合法人「多古町旬の味産直センター」が取引先の生協や学校給食の担当者、PTA、産直の会員を招いて1年に1回、感謝の気持ちを込めて消費者と交流を図るおまつりが開かれていた(参加費1000円)。産直センターのメンバーのうち9軒の農家と神社が縁側や庭先を開放して、自慢の料理を振る舞っていた。
例えば高橋まさこさん宅ではキノコ汁と田舎まんじゅうと麦とろ。藤崎和久さん宅では具だくさんのすいとんとマイタケの天ぷら。佐藤なかさん宅ではきんぴらや酢バス、浅漬け、小芋の煮っ転がし。佐藤久子さん宅では紫芋の羊羹とお抹茶。掘仁さん宅では「仁勇」の樽酒。平山正勝さんのところでは落花生の甘煮と甘酒。佐藤幸子さんのところは湯豆腐。神社では赤飯とおでんといった具合である。
おかしいのは、参加者たちがコップ代わりに渡された竹筒を首からぶら下げて(竹筒にはタコ糸が通してある)、手には食器と箸を持って、町内を巡り歩いている光景だった。食器と箸は自分のものを持参しなければならないルールであった。初めにお酒の家から回って酔ってしまう人や、食べ過ぎて全部の家を回り切れなくて悔しがっている人や、“ああ苦しい”とつぶやきながら歩いている人もいて、集落には満ち足りた空気が漂っていた。このアイデアは地域づくりにも応用できそうだ。
多古町の農家の庭先で、おいしいものを食べながら交流する生産者と消費者。
■某月某日 東京渋谷区の代官山ヒルサイドウエストで開催されたシンポジウム「130年目の日本奥地紀行 遙かなる道/イザベラ・バードを語る」に出席。これは、『かがり火』の創刊号から最新号まで126号すべてをそろえているという本誌にとっては大変ありがたい読者の矢口正武さん(造園デザイナー)が主催したもの。明治11年に来日したイギリスの女性旅行家バードが、当時の東北・北海道の旅で何を見たのか、何を見なかったのか、何を感じたのか、何を感じなかったのかを語る会だった。
基調講演は「東北学」を提唱した東北芸術工科大学大学院長の赤坂憲雄氏。赤坂さんは、「これからは、今までの観光ガイドブックを持って回る旅行に代わって、バードのような人が歩いた道をたどる旅が盛んになるだろう」と予測していたけれど、本誌も同感。このような旅が盛んになれば、地域づくりに新しい展望が開けよう。
イザベラ・バードについて語る赤坂憲雄さん。
ギアリンクス 第9回 農場ツアーのご案内
本年1月におこなわれた「アルゼンチンの農場視察ツアー」には本誌も参加しましたが(123号)、2009年2月に第9回のツアーが実施されます。このツアーは、?ギアリンクス(代表取締役はサラダコスモの中田智洋社長)がツアーコンダクターとなって、アルゼンチンで経営する自社の大豆農場の視察や、現地の日系移住者との交流を目的に行われます。
苦難を乗り越えて南米の大地に広大な農業を展開している移住者との交流は、旅行代理店の企画する観光旅行では体験できません。参加者同士の交流も深まるのも、このツアーの特長になっています。
募集人員 30名
旅行期間 2009年2月10日〜2月21日(成田空港集合・解散) 12日間
旅行費用 お一人 45万円(エコノミークラス、相部屋利用)
・ビジネスクラス利用やシングルユースは別途料金が必要となります。下記事務局にお問い合わせください。
旅程表 日本―米国―ブエノスアイレスーイグアス(パラグアイ)―イグアス(アルゼンチン)―ブエノスアイレスーパラデロ農場視察(アルゼンチン・メンドーサ)―チリ(サンティアゴ)―米国―日本
●2008年11月20日現在、飛行ルートが北米経由から成田―マレーシアー南アフリカーアルゼンチンに変更される可能性が出てきています。この場合は、チリ訪問がなくなりますので、あらかじめご了承願います。
お問い合わせ&お申し込み先 〒505-0051 岐阜県美濃加茂市加茂野鷹ノ巣343 桜井食品内 TEL 0574・55・0003 FAX0574・55・0036
世界から観光客が集まるアルゼンチンの「イグアスの滝」。
アルゼンチンの自社農場の前で説明する、中田智洋社長。
BOOK GUIDE
『木育の本』
「木育」(もくいく)とは聞き慣れない言葉ですが、平成16年に北海道と道民による「木育推進プロジェクトチーム」で検討されて、できた新しい言葉ということです。“木とふれあい、木に学び、木と生きる”ために、子どものころから木を身近に感じていくことで、人と、木や森とのかかわりを主体的に考える豊かな心をはぐくもうというメッセージが込められています。
著者の煙山さんは木育の普及活動を進めている木工デザイナーで、「木のタマゴ」などのヒット商品があります。共著の西川さんは北海道弟子屈町に住むノンフィクションライターで、『北の木仕事 20人の工房から』など、木に関する著書が多数あり、本誌の支局長でもあります。本書は、「子どものころから木に囲まれて」暮らすにはどんな方法があるかを具体的に解説しています。教育関係者には特にお勧めしたい一冊です。
本体1500円+税。
■著者/煙山泰子、西川栄明 発行/北海道新聞社 TEL 011・210・5742
『フランスの教育ファームに学ぶ』
本誌でおなじみのフランスのブルゴーニュに住む大島順子さん(ライター)が、海外のグリーン・ツーリズムに造詣が深い明治大学名誉教授の井上和衛さんと共著で出した本。日本でも最近は農業体験が盛んですが、フランスでは一歩先んじていて、子どもの体験学習にとどまらず、農業の国民的理解、農家等の所得向上、地域の活性化まで視野に入れた体系的な取り組みが進められています。本書は広く都市と農山漁村の共生と対流につながるヒントにあふれています。
定価2000円(本体1905円)。
■ 著者/大島順子、井上和衛 発行/(財)都市農山漁村交流活性化機構